彼にイチ人間として見てもらえることの喜び

この間彼氏と話をしていて、ちょっとびっくりしたことがあって。彼は最近仕事を始めたなり立て社会人なのだけれど、将来は自分でビジネスを始めたいとか、早く昇進したいとか、話をしてくれる。うまくいってもいかなくても、私は自分の食い扶持は自分で稼げるし、そういう話をしている彼はなんだかイキイキしているので、「できるよー大丈夫だよー」と無責任に励ましている。無責任な励ましは、わりとうれしいものだ。彼も「わじらがそう行ってくれたら、僕は大丈夫!」といつもニコニコと受け取る。

で、自分でビジネスをしたいというので、どんなことをするのか聞いてみたら、わからない、でもIT関係。とまだ決めていないそうだ。でも、彼のビジネスビジョンは大きく、従業員もいっぱい雇うらしい。へーと思って話を聞きながら、「私もお手伝いできるかな」と聞くと「もちろん、いっぱい手伝ってもらう」というので「じゃあ、毎日社員のランチを作ろうか」と笑って言ってみたら、彼はまじめな顔をして

「ダメ。ランチなんて作らせないよ、わじらにはマネージャーしてもらう。君は日本語がしゃべれるんだから、やれることがいっぱいある。」

と一言答えた。私はその発言にとってもびっくりした。でも、とてもうれしかった。もちろん、毎日大人数のご飯を作ることは半端な仕事じゃない。それを彼は否定したわけではなかったのだと思う。

私はなんとなく「奥さん」としてやることを言ったのだった。奥さんというものがこういうことをするんじゃないか、それは私の勝手な思い込みだった。私はいつも女性を尊重しない男性のことを責めそうになるし、男性とはこんなものだと高をくくっている。その割に、自分自身が女性とは妻とはこうあるべきというものにがんじがらめに縛られている。彼のその発言は私の人間としての能力をどう生かすかに焦点が当たっていた。男はこうあるべき、女はこうあるべきという私の中にある凝り固まった価値観をすっ飛ばして、心のすとんと落ちた。ほんの少し泣きそうになった。

彼は若くて、とてもリベラルな校風の大学を出て、ご両親(2組いる)もバリバリ働いていて、カリフォルニア育ちのアメリカ人で、女はこうあるべき男はこうあるべき、という考えがあまりない。ゲイやレズビアンの仲間も普通にいる。そういう背景があるからか、話をしていて、いつもあまりにフラットな人間の見方をするので、驚く。日本人男性にはこういう人がいないわけではなくて、きっといっぱいいるんだろう。はてなの中を見ていても立派な男性がいっぱいいて、素敵だと思っているし、別にアメリカだからどうのと言ってるわけではない。私が出会ったのがたまたま彼だっただけだ。で、私はそれにとても感謝している。

 

彼はその一言に続けてこう言った。

「僕の会社では、ミニスカートはいてね」

彼は私の脚がとても好きなのだ。

 

おしまい