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私は君を責めているわけではない

忙しいので、何人か学生バイトを雇った。20歳そこらの若者で、しかもインターンでもなくただのバイトだから、とにかく"なってない"。携帯メール一本で休もうとするし(しかもそのメール無記名だった)、仕事中堂々と寝るし、履歴書の欄が埋まらないものを出してくるし、履歴書に修正液使うし、遅刻するし。や、まあ、ほんと人によるし、学生っちゃそんなもんだろうし、特に期待もしてないので想定内ではあった。そういうのを叱るのもいちいち面倒だが仕事をしてもらう以上仕方ない。

なんか引っかかるバイトや若手社員の返答

作業をたまに見に行って気をつけてほしいところを伝える。「ここの範囲内で作業してね」何の気なしに私は言ったのだが、バイトくんは

「この範囲外のところやったの僕じゃありません!」
 
と語調を強める。私はえ?と思った。
確かに他のバイトが同じ作業で、範囲外をやっていたところがあるのだが、別段私は気にしてなかった。というか、やっちまったもんは仕方ないし。ただ、その作業は範囲がややこしいため、気をつけて欲しかっただけなのだった。「うん、あなたが気をつけてくれればいいだけだから。」私は、びっくりしてそう言って、さっさとその場を立ち去った。
 
なんかこの感じ、前にも感じたことある。私は思った。一番最初に指導しなければならない後輩を持ったときだ。Aさんとしよう。私はとにかくAさんに手を焼いた。そしてAさんからも、アルバイトが食って掛かったようなタイプの受け答えを何度もされた。たとえば、Aさんが午後急に休みをもらうときに、「課長に声かけて帰ってね」と声をかけると「もうかけました!」と返答がある。結構時間をとって、頼んでいた仕事が予定通りに仕上がらなくて、しかもそのことを私に報告せずに、丸投げしてさっさと帰省。そのことを咎めると、「私は精一杯頑張りました!」と…。返答の内容は間違っちゃいないが、第一声にそういわれると、こっちもびっくりする。
こういう返答を私も心の中でやっていた時期があった。さすがにその場で口には出さなかったけど…。交通違反で捕まった時に、おまわりさんに「あの人もやってました!」という発言をしてしまう時のような…。いや、お母さんに宿題は?って言われて、「今からやろうと思ってたのに!」みたいな?
 自己防衛の言葉
これって、自分が責められてると感じている人の自己防衛の言葉なんだと思う。 私自身、会社に入ってから、先輩が赤を入れてくれた報告書を見るたび、私のせいじゃない、と思っていた。と同時に、一発で仕事が達成できない自分のことを責めていた。今から考えれば、その赤は別に「お前のせいだ、一発で完璧にできないお前は出来損ないだ、生きる価値なし」と責めているわけではなかった。ただ、その仕事の既定の水準に達していなかっただけだった。
会社の中で自分という人間が確立していないときには、自分を防衛することが第一目的になってしまう時期というのはあるのだろう。客のことや、自分の仕事の先に何があるか想像ができないから、先輩やボスの指摘の言いたいことよりも多くのことを受け止めすぎてしまう。そのミスを指摘されたときに自分を否定された!と必要以上に思い、自分のことを出来損ないと思われた!と腹を立てて、自己を正当化しようとする。もともと、自尊心がその段階でうまく育っていれば、言葉をその意味以上にとることはないだろう。自分が否定されているとは思わないから。
育つ新人、育たない新人
育てやすい新人は、そういう自尊心がきちんとある。だから、先輩にものを聞くときも堂々ときちんと聞けるし、自分の力を過信しすぎず、かつ、ほかの人に依存しすぎずうまくなじんでいける。そういう人はとにかく楽。そういう人間ばかりじゃないから、育てる側も、いろいろ考えてやらねばならないというのが最近の人材育成の方法らしい。
ただ、数年新人を見ている感じでは、手をかけてもいろいろ考えても、育つ人は育つし、育たない人は育たない。啐啄同時、としか言いようがない。できることは、伸びたいと思った時に、その人に会ったいい先輩がいることを、お祈りするくらいだ。
 
おしまい